もう終わってしまったけど、
森アーツセンターにて開催していたフィリップス・コレクションは本当に素晴らしかったですね!
特に目玉作品とされていたルノワール『船遊びの昼食』の素晴らしさは、文字通り筆舌に尽くし難いものでした。
この絵画が放つ空気感は、まさしく19世紀のパリの光景を鮮やかに映し出していたのではないかと思う訳です。
って、お前、19世紀のパリ見たんかい、という突っ込みはさておき。
パリはパリでもこの絵画の舞台は、郊外にあるシャトゥー島にあるレストランなのだそうで、次にパリに訪れる際にはぜひ行ってみたいと思いました。
正直、「マイナーな作品でも目にとまるものを」といった企みを持ちつつ臨んだわけですが、この作品の放つオーラはまったく別格でしたね。絵の前で立ちすくんでしまったのは、生まれて初めての経験かもしれません。
あと、ドガの「稽古する踊り子」も凄かった。
この作品はドガが晩年、ほとんど目が見えなくなってから描かれたものだ、という注釈を読み、改めて絵画を見ると、老芸術家の執念が絵に塗り込まれていうような気がして、心臓付近をぎゅっと掴まれたような、息苦しい高揚を感じました。
実は同日に、ジョージ・A・ロメロ監督の20年ぶりのゾンビ映画であります「ランド・オブ・ザ・デッド」も鑑賞しちゃったわけですが、美しさと醜さ、静謐とざわめき、A級とB級とあらゆる意味でフィリップス・コレクションと対極にある作品でした。
「この夏、我々人間の世界が、ゾンビで埋め尽くされる!」なんて身もふたもないキャッチコピー。そして、おそらくこのリンク先のホームページでご覧になって感じた以上でも以下でもない「まんま」の内容。
見どころは初春に公開されて話題になっていたJ.T.リロイの小説の映画化「サラ・いつわりの祈り」では監督をつとめた、アーシア・アルジェント嬢(ホラー界の帝王ダリオ・アルジェントの実娘)が、熱演している気の強い女の子のなんとも言えない演技っぷりですかね。
あと、水面からジャバーっとソンビーズが上がってくる光景はなかなかのものです。
まあ、どうがんばっても「良い映画」ではないです。
「良い映画」ばっかり見ててもしょうがないしね。
いずれにせよ、幸か不幸か、僕の中では19世紀のパリの風景と、水面に佇むゾンビ達の光景が分ち難く結びついしまったということです。
そりゃ不幸か、やっぱ。
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