菊地成孔の「東京大学のアルバート・アイラー」が非常に面白い。
東京大学の非常勤講師をつとめた彼が、一般教養の授業で話った講義録で、主にジャズ史ということになる。
ちなみに音楽の記号化手法としての「バークリー・メソッド」とジャズのモダンムーブメントの発端となった「ビバップ」を結びつけて考える、というのが彼の授業の基本スタンスであるようです。
「バークリー・メソッド」ってのは、要はコードシンボルの体系化のことで、CmとかDmaj7とかってやつのことなんだけど、こうした記号整理学とジャズの新潮流がシンクロした背景や、それが商業音楽にもたらした影響なんかをいつもの調子でベラベラ語っている、と。
僕にとっては非常に新鮮な話だったし、同時にツタヤの半額レンタルで借りてきたC.イーストウッド監督の最高傑作との説もある『BIRD』(ビバップの創始者チャーリー・パーカーの伝記映画)が、また近年稀にみる超名作だったこともあり、ここにきて合わせ技で一気にジャズに対する理解・興味が深まったという訳なのだ。
それにしてもあらためて、大学のパンキョーって面白かったなと思う。
社会にでてしまった今となっては、無意識に仕事となんらかの関連がある情報や書物を摂取してしまいがち。(ではないですか?)
あんなに大好きだった小説も読まなくなって、たまに買うのは新書やビジネス本ばかり。CDも買わなけりゃ、友達と会っても株の話、気付いたらまた「バク天!」のレイザーラモンみてるうちに一週間が終わっちゃったよ。みたいな。
しかし、しかしだよキミ。
僕らはべつにさおだけ屋がつぶれない理由を知るためにこの短い人生を生きているわけじゃないのだ!
そんなことよりも、バードのサックスが放つ響きがどうしてこんなに僕らの胸をかき乱すのか、って、そのわけが知りたいんじゃないのか!
女の子からメールの返事がこなくて、2回続けてこっちからメールしたり、さらに電話するかどうか悩んで、悩んだ末にやっぱかけて、着信履歴をやたらと残しちゃってへこんだり、そういうことなんじゃないのか!
どうなんですか、みなさん!
などと、いささか熱くなってしまいましたが、季節はもう秋。
春夏にはしまい込んでいたボサノヴァのレコードでも引っ張りだしつつ、優雅に憂鬱にそれぞれ人生をすこしでも豊かに楽しもうではありませんか。
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