冬の感覚


1999年から2002年ぐらいまでの間、
ベルセバの音楽にはまっていた。


スイートなメロディと控えめに奏でられる楽器の上に、絶望的で少し狂ったような歌詞がのっているのがよくて、ひたすら当時はポータブルCDプレイヤーでリピートしまくっていた。

僕は大学を卒業する年にイギリスとフランスに行ったのだが、その際にふとグラスゴーを訪れてみようと思ったのは、もちろん彼らと無関係ではない。

1月のグラスゴーは暗くて、じめっとしていた。

破格の1泊8ポンドのユースホステルは、10人以上同部屋のドミトリーで、夜になると僕のベッドの上にいる男が、大麻樹脂を削って、巻いて、吸ってをひたすら繰り返す音が聞こえてきた。グラスゴー大学とマッキントッシュのつくった建築物だけが美しく、あとはクソみたいな街だった。


でもたぶんあの街に行ったおかげで、ベルセバは僕にとって特別なバンドになった。

寒い季節にマフラーを口元までひっぱりあげて、ポケットに手を突っ込んで、知らない街をひとり早足で歩き回ったときの感覚が、今でもベルセバの曲と分かちがたく結びついている。


ここから出してくれ 死にそうだ
自由になれるように歌ってくれ
だれも昔みたいに手紙を書いてくれない
だから 僕が
ここで何時間もひとりで
ひとりバスに乗り
こんなふうに考えてみる
きみはうまくもやれないし 僕たちのようにもなれない
僕たちの勝ち誇ったほほえみと 僕たちと
僕たちのおぼえやすい曲と 僕たちと
僕たちは写真写りがいいんだぜ
わかるだろ きみにチャンスはないのさ

ちょうど僕のような少年についての
昔の話とはケリをつけるつもり
すべてのものとすべての人に愛があると思っていたなんて
愚かなヤツ!
もうすこしすれば いつでもヤツらは手に入れるし
くだらない結末にたどりつく
それでも僕がもったいぶってページをめくるのにはふさわしい
勝ち誇ったようなほほえみ
少年は無邪気にやりとげる
最後の瞬間に僕は叫ぶ
僕はいつも最後に叫ぶ

ああ こんなことが言いたかったんじゃない
孤独な部屋を洗い流してる雨
僕を迷わせてる
恋人たちの窓の内側へ
書かなくちゃ絶対にわかってもらえない
「これは宣言じゃない さよならと言おうと思っただけ」
と 物語の中でヒーローが言った
「これは剣よりもすばらしく
きみを殺せもするけど
でも 言葉で僕はきみを泣かせよう」

"Get me away from here I'm dying" Belle and Sebastian

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