退屈な映画、という感想

マリー・アントワネットは、「退屈」と「朝帰り」の映画だった。

これは、
映画の内容が退屈なのではなく、
映画そのものが「退屈」を描いているということ。

そういえば、『ロストイン〜』も『ヴァージン〜』も、「退屈」についての映画だったね。

ソフィア・コッポラは、そのフィルモグラフィを通して
言ってしまえば「退屈」を、シチュエーションを変えながら、
描き続けているにすぎないのだ。

僕が高校生の頃に読んだ、
シュテファン・ツヴァイクの『マリー・アントワネット』(名著)で
印象に残っている節は、
「私は退屈が怖い」と言っていた箇所だったし、
その名台詞を映画の中であえて使わなかったのは、
この映画のテーマがまさに「退屈そのもの」だったからだと思う。
(ちなみにもう一つの名台詞「パンがなければケーキを以下略」はちゃんと使われてたね)


え、そういえば
最近やっと気付いたのですが、
女の子ってのは、ほっとくと退屈していくんですね!


いや俺も最初まさかな、と思って見ていたんだけど、
どうやらこれはマジっぽい。

ちょっと気を抜くと、風船の空気が抜けるみたいに、
いつの間にか退屈してるぜ。

この発見は個人的にはなかなかアレですよ。
いわゆるアレ賞ものですよ。
ノーベル・アレ賞ね。


そして、もうひとつの要素である「朝帰り」。
これは、あざといぐらい上手に描いていました。
空が白くなって、ちょっと空気がうすくなる感じ。

特に冬の朝帰り感とヴェルサイユ宮殿のマッチングは絶妙。
朝帰りでヴェルサイユに帰るってずるいだろ。


この映画、ネット評を見ると、けっこう多いのが、
まさしく「退屈しました」って感想でね。
惜しい!って感じだよな。

モダンロックや美しいヴェルサイユ宮殿や、なにより退屈している女の子を楽しめないんだったら、
おとなしく『ディパーテッド』見に行っとけよと、
思う訳なんですが。

まあ、僕は『ディパーテッド』に備えて『インファナル・アフェア』をまた見ちゃったし、
かつて美容院でトニー・レオンの髪型をオーダーしたという恥ずかしい過去を有しているので、
そっちの方の感想でもいいです。
交換したいものです。

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