The Great Escape

ほとんどの人にとってどうでもいいニュースだが、
一部の人にとって大きな驚きを与えたのがこのニュース。

　　　　「伊集院光・日曜日の秘密基地」降板

伊集院が10年続いた「伊集院光・日曜日の秘密基地（関東ローカル）」降板を申し出ました。3月で番組終了。後任は爆笑問題。

＜中略＞

降板の理由が伊集院らしく「ラジオパーソナリティーとしてより成長したい」がために
「月曜深夜にやらして貰っている番組（深夜の馬鹿力）で、ラジオの、僕の限界の最後のところ見てみるために、ラジオ一本に絞ってみようかなという形になった」とのこと。
ヨダレのじかん

ラジオ事情を知らない向きには、伊集院→爆笑問題って、
むしろ良い話なんじゃねーのってイメージかもしれないけど、
ラジオ的には、伊集院光が現在叩き出しつづけている超高聴取率を維持することは、
不可能に近いとさえ言われている。

え？伊集院光ってあのデブタレでしょ？
という認識は無論間違ってはいないけど、
それは世を忍ぶ仮の姿。

本当の伊集院は２０年近くの間、ラジオリスナーを惹き付け続けている
天才DJなのです。

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実は、三遊亭楽太郎を師匠として落語をはじめるも挫折。
という経歴をもつ伊集院は、その語り口に落語的なテンポと侘び、
言葉選びの確かさを持った間違いなく、日本トップレベルの語り手。

僕は小学校４年ぐらいから深夜ラジオにはまり、
以降、中３ぐらいまで、まさしく童貞黄金期に、
深夜ラジオを欠かさず聞いていたのですが、
そのきっかけとなったのが伊集院光番組でした。
（彼がテレビにでてくるのは、もっとずっと後になってから）

アメリカにきてから、ポッドキャスティング熱が高まったことを端緒として、
日本の、それもAMラジオのヘビーリスナーに戻ったわけだけど、
そうなってみて、実際いま、ラジオの波はかなりきているんじゃないかということに気づいた。

理由は、大きく３つあって、

１ネットとの親和性が高いこと
　　ハガキ→メール化、ブログ連動によってリスナーと直に繋がることが可能

２テレビに対するアンチの増加
　　総バラエティ化したテレビに辟易、ワンテーマの深い掘り下げに対する需要

３ライフハック的な意識の高まり
　　余った時間の有効活用、ながら聞きできる、iPodの普及

このブログでTBSラジオの『LIFE』を取り上げた時に、
プロデューサー黒幕氏から直にコメントをもらったときはビックリしましたが、
【THE GREAT ESCAPE コンテンツ・オブ・ザ・イヤー2007 INDEX】
もともとラジオというのは、「出演者と視聴者の繋がっている感」が
テレビに加えて遥かに高いメディア。

その特性が、インターネットの普及によって、
さらに深いものになっていると言えそうです。

あとはもしかしたら、落語ブームによる話芸の見直しってのも、
理由としてあるのかもしれない。

いずれにせよ、広告費がネットに抜かれて久しい斜陽メディアという先入観は、
今だからこそ取っ払った方がいいと思うなぁ。

で、冒頭の話にもどると、伊集院光（a.k.a 痴豚）が、
ラジオ界異例の大人気番組である『日曜日の秘密基地』を退いたのも、
深夜ラジオに全力を注ぎたいから、という理由によるもの。

そんなわけで、今後おしゃべり豚野郎がどうなっていくのかを、
そしてラジオの限界を見極めるためにも
『月曜JUNK 伊集院光の深夜の馬鹿力』からは、耳を離せなくなった。

そして僕は、小学生時代から好きなものが変わってないことにうんざりしつつも、
００年代の終わりにラジオのリスナーとして復活したことにある種の
合理性すら感じている昨今なのである。