ネイザンロードから九龍公園を背にして路地を折れる。
すれ違う人と肩からぶつかりそうになるのを、
どうにか半身ですり抜ける。
日本の無菌的白色灯とは比べるべくもない、
薄明かりのセブンイレブンの脇の怪しいマンションの入り口に、
マッサージ勧誘のお姉さんがだるそうに座っている。
排気ガスと、街の臭気から逃れるように空を仰ぐと、
宙づりのネオン看板が、昼よりも強い光を放っている――
そのあまりにも典型的な光景に、
ここが「あの香港」だということを、実感しない訳にはいかない。
ってなわけで、日中は粛々と仕事をしつつ、
夜はぶらぶらと街を散策しているのですが、
香港といえば、あれですね。
クレイジーケンバンド(a.k.a CKB)の『香港グランプリ』。
00年代初頭に、
CKBを通じて学んだ気がしたものは、なんだったのか。
思えばCKBの唄はいつも具体的でありながら、
同時に観念的だった。
たとえば、横須賀についての唄は、実際の横須賀よりも横須賀的であり、
上海についての唄は、実際の上海よりも上海的であり、
香港についての唄は、実際の香港よりも香港的だった。
ある断片を強烈なクリシェの物語に封じ込めることで、
そのイメージを何倍にも増幅させる、
というのが彼の作る音楽のスタイルだったのだと思う。
もし「音楽が見せてくれる風景」というものがあるとしたら、
僕にとっての香港の風景はまさに、
彼らの音楽によって作られたものだ。
そして、そこで見た香港を、
僕は現実の香港の中にいても、探してしまう。
サマーソングの「終わらない夏」や、
理想の「カリフォルニア・ガール」なんて、
もう本当はありはしない事なんて、とっくに気づいているはずなのに。
Comments [2]
No.1mayuさん
私は香港行ったことないですが、
香港とはどういうムードなのか、勝手にわかった気になっています。
thru CKBのイメージが強烈で、鮮やかで、
「もう香港、行かなくていいかも」という気にすらなりますw
No.2kajkenさん
>mayuさん
香港、料理が本当に美味しいです。
買い物は日本でした方が良いかも。
来年以降しばらくは、ちょくちょく行く事になりそうです。
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