宝石屋とファミリービジネス

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先日、巨匠シドニー・ルメット監督の最新作『その土曜日、7時58分』を
観てきました。



いきなり怪優フィリップ・シーモア・ホフマンが汗びっしょりで、
後背位でがっつりやっているという、
しかも鏡に映るプレイ中の自分たちを見てニヤリみたいな、
初デートなら後悔度200%なオープニングで幕を開ける映画です。

ストーリーは、あるお金に困った兄弟が、
自分の実家がやっている宝石店を襲撃するという話。
まったく綿密じゃない計画は、当然のごとく破綻し、
事態は思わぬ方向に展開していく。

キューブリックの『現金に身体をはれ』を正統に受け継ぐ、
フラッシュバック方式、
(ある出来事が起きると、実は3日前こんなことがありましたと巻き戻して見せる形式)
わかりやすく言えば、『木更津キャッツアイ』方式で進行していく。

この使い古された形式が、けっして凡庸に見えない。
そして御歳84歳とは思えない監督のじっくり丁寧にみせる演出、
まるで湿度の高い室内練習場でどんよりしていくようなどうにも居たたまれなさ、
出口の無さ、そして救いようの無さに、胸が苦しくなる。

弟役のイーサン・ホークがまた本当に大バカ野郎で、どうしようもないんだけど、
どうしたって憎めない。
ああ、弟ってこうだよなって思わずにはいられない愛すべき存在なのも見事。

これはサスペンスの姿を借りながら、家族の縺れというのが、
如何に根深く、そして救いようのないものであるか、ということを
実に明瞭に描き尽くした作品である。


こちとら家族経営の宝石商としては、
幾ばくか共感できるとこでもあれば、、、ぐらいの気持ちで見に行ったものの、
結果とてつもなく重い感情を抱いて劇場をでる羽目になってしまった。

それでもこの映画の救いようの無さは、
家族というものがある以上、起こりうる現実なんだということを、
まざまざと思い知らされるという意味で、
非常に身につまされる一作でありました。


* * * *

ちなみに、P.S.ホフマンの妻役を演じている
女優マリサ・トメイが40代とは思えない美麗ヌードを披露していて、
2007年(原題『Before the devil knows you're dead』)のベストヌード・ムービーとも言われている。
そのあたりも超必見。

marisa-tomei-nude-20.jpg

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