赤めだかの次にどうするの?

このサイトを読んでいる聡明なる諸氏におかれましては、
名著『赤めだか
』は昨年のうちに読んでいることと思う。

きっと、あの本を読んだ人なら少なからず、
「落語ちょっとよさげやん」とか「立川流の高座を聞いてみてぇな」なんて、
ちらりとは思ったのではないだろうか。

にしてもいざ落語を聞きにいくってのは、
なかなか腰が重いものである。

そこで、『赤めだか』を入り口とした、
インドア読書家的落語のススメをしてみたい。


この落語家を聴け! いま、観ておきたい噺家51人

とにかく『落語』というジャンル、あるいはコンテンツには興味を持った。
だが、そこから先にどう進んでいいか分からない。

そんなあなたには、まずこの本を読むことをオススメしたい。

この本は、2009年現在における『落語シーン』を俯瞰する上で、
最も優れたガイドブックである。

「いま、観ておきたい」という視点は、
名人がどうしたとか、五代目誰それが、
とかく奥が深そうな落語の歴史を「とりあえず保留にしておいて」
今何を聞くべきかを教えてくれる。

さらには、それぞれの噺家が得意とするネタについても、
バランスよく書かれているので、じゃあこの人のこれを聞いてみようか、
なんてCDを借りたりするにも適している。

筆者があのヘビメタ雑誌『BURRN』の編集長というのも、
意外性があってよい。
そしてその音楽評論家の視点で落語を見る、というスタンスは間違っていないと思う。


全身落語家読本 (新潮選書)

さて、とはいえ立川流が気になってしまうよ、という『赤めだか』好きに
お勧めしたいのが、談春の弟弟子にして、先に真打ち昇進した秀才、
立川志らくの落語評論本『全身落語家読本』である。

この本を読むと、志らくの落語分析眼、落語にかける熱い情熱が、
並々ならぬものであることが理解できるだろう。

俺がやらなきゃマジでヤバい!という、落語シーンをどうにかして支えようという気概には、
いささか空回り気味に生意気な「若さ」の部分も含めて、ちょっとした感動すらおぼえる。

代表的なネタ百数点のあらすじを志らく的解釈で
分かりやすく教えてくれるので、この本を読んだ後には、
きっと観てみたい、聞いてみたいネタが出来ていることだろう。


僕が、落語を変える。

現存する落語界最強のサラブレッド、
人間国宝柳家小さん師匠の最後の内弟子にして実孫である
柳家花緑の自伝。

問題意識の持ち方、責任感に潰されそうになるサラブレッドゆえの苦悩に、
たしかに名人の血族も楽じゃないよなーと、感じてしてしまう。

間違いなくこれからの落語界を背負わなきゃいけない人なので、
好むと好まざるとに関わらず、この一人の人間の生き様を、同世代人として、
見守っていくのも楽しそうだなと思える一冊です。


ざっとこんな感じ。
他に小林信彦著の名人―志ん生、そして志ん朝 (文春文庫)
なんてのも面白い。
けど、志ん朝も志ん生ももう生では観れないということを
思うと、昔からの落語ファンがいささか羨ましくなってしまうので、
個人的には、現代の落語を論じた前記3冊をオススメしたいのである。

てなわけで、
このあたりを一冊でも読んだら、まずは一緒に寄席でも聞きにいきましょう。

Track Back

Track Back URL

Comment [1]

No.1

小三治の私服が気になって仕方ない人はどうすればいいですか。
あんなにカジュアルダウンした和装をみたことなかったから
衝撃的でした。見方によっちゃぁ庭師だけど。寄席いこーよー。

コメントする

※ コメントは認証されるまで公開されません。ご了承くださいませ。

公開されません

(いくつかのHTMLタグ(a, strong, ul, ol, liなど)が使えます)

このページの上部へ

プロフィール

The Great Escape by kajken

サイト内検索

最近のピクチャ

最近のコメント

Powered by Movable Type 5.14-ja