自称「若手ビートルマニアの旗手」としては、当然買わねばなるまいと昼飯のお供に購入。・・・面白い。
実はこれはシリーズもので、前作は講談社現代新書から出ている「これがビートルズだ」。こちらはビートルズが現役時代に出した全作品の解説本で、ちなみに今日買ったものはアンソロジーなどを含む解散後に発表された曲の解説本となっている。
僕は『これがビートルズだ』を以前に会社の先輩から借りて、非常に感銘を受けました。要はビートルズの曲をレコーディング順に1ページに1曲分の解説をつけているだけというシンプルな内容なんですが、そのシンプルさ故に、読みすすめるうちにビートルズを聞きたくて聞きたくてたまらない禁断症状に陥ってしまうという恐ろしい本でもあるんですね。
今日読んだ『ビートルズ全曲制覇 完結編』では、『Let it Be ...Naked』についての全曲解説があるんだけど、これがもう名文の極み。著者が一つ一つの曲を描写する際のソムリエ的な言い回しが的確で、例えば『イントロのアコースティック・ギターの響きは水が滴り落ちるよう(Two of Us)』。『まるで精巧なガラス細工のよう(Across The Universe)』といった具合。もう読んでるうちにみるみる顔が白み、手がぶるぶる震えだし、血管が浮き上がってきます。僕もそんな死の淵を経て、気付いたら部屋で一人大音量でリスニングしておりました。
誰かが「ビートルズはどんな気分にもマッチする」と言っていたけど、それはたしかに一理ある。幸せな時はどこまでもハッピーに、悲しいときはどこまでも切なく響く、美しいメロディがビートルズの普遍的な魅力なんだとあらためて感動しました。
ちなみに著者の中山康樹さんは本来ジャズ畑の人で、『マイルズ・デイビス 自叙伝』(←これも名著!)の翻訳なども手がけている。
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