2007年1月の記事一覧

FROM TUCSON

TUCSON、という単語を初めて見て、正確な読み方を当てられる人はまずいないだろう。

このスペリングで「ツーソン」と発音する。

ツーソンは、アメリカはアリゾナ州にある小さな街である。

調べてみなきゃ気が済まないって人は、
Google Earthでも使って確認してみてほしい。

本当に小さな街だ。

砂漠のど真ん中にぽつんとあるこの街は、おそらくほとんどの日本人にとって無関係であり、
決して訪れることのない、全米屈指のマイナーシティだろう。

ただし、それがジュエリー業界関係者となると、事情は違ってくる。

ジュエリー関係の仕事についていて、この街を知らない者はまずいない。
この時期になると「今年、ツーソン行く?」という会話が、
時候の挨拶のように交わされるようになる。


ツーソンでは、毎年1月末から約1週間のあいだ、
世界最大の宝石のトレーディングマーケットが開かれるのだ。

従って、この時期のツーソンは人で溢れかえり、
ホテルもレストランも世界中の宝石商やジュエリー関係者で一杯になる。

コミケの時期にりんかい線やゆりかもめが、日本中のAボーイや腐女子で埋め尽くされるように、
1月末のツーソンは、特殊な性質の人間が集まって独特の雰囲気になる。

つまりこの時期のツーソンというのは、ジュエリー関係の仕事をする人にとっては、
年中行事のひとつであり、まさにホットトピックなのである。


僕はジュエリー業界の駆け出しだから、今回は初めて訪れるツーソンだ。
そういった意味では、この文章を読んでいるみなさんと予備知識も大差ない。

この新鮮な(そして、いささか気負い気味な)心持ちで、
未知の業界の、もっともディープな世界を覗いてみたいと思う。


前置きが長くなってしまったが、
業界初心者による、
「初めてのジェムトレーディングレポート」に、
どうぞご期待ください。

tucson_airport

|TUCSON AIRPORT 2007.1.30 GR-D|

ついにネセサリー!

  • モノ

The World of GOLDEN EGGS Season2(初回限定)

というわけで、もくそもないのだが、
The World of GOLDEN EGGS、待望のシーズン2が発売されますっ!!

通常バージョンと、Tシャツ付きamazon限定バージョンと、
初回限定バージョンの3種類同時発売で、
僕は初回限定12インチのアナログレコード付きを、迷わず予約しました。

上記amazonのリンクで、
本作をかいつまんでみれますので(今、こんなのあるんだねー)
まだ見てない人は、サンプルムービーで爆笑の後、ちゃきっとクリックすること。

退屈な映画、という感想

  • 映画

マリー・アントワネットは、「退屈」と「朝帰り」の映画だった。

これは、
映画の内容が退屈なのではなく、
映画そのものが「退屈」を描いているということ。

そういえば、『ロストイン〜』も『ヴァージン〜』も、「退屈」についての映画だったね。

ソフィア・コッポラは、そのフィルモグラフィを通して
言ってしまえば「退屈」を、シチュエーションを変えながら、
描き続けているにすぎないのだ。

僕が高校生の頃に読んだ、
シュテファン・ツヴァイクの『マリー・アントワネット』(名著)で
印象に残っている節は、
「私は退屈が怖い」と言っていた箇所だったし、
その名台詞を映画の中であえて使わなかったのは、
この映画のテーマがまさに「退屈そのもの」だったからだと思う。
(ちなみにもう一つの名台詞「パンがなければケーキを以下略」はちゃんと使われてたね)


え、そういえば
最近やっと気付いたのですが、
女の子ってのは、ほっとくと退屈していくんですね!


いや俺も最初まさかな、と思って見ていたんだけど、
どうやらこれはマジっぽい。

ちょっと気を抜くと、風船の空気が抜けるみたいに、
いつの間にか退屈してるぜ。

この発見は個人的にはなかなかアレですよ。
いわゆるアレ賞ものですよ。
ノーベル・アレ賞ね。


そして、もうひとつの要素である「朝帰り」。
これは、あざといぐらい上手に描いていました。
空が白くなって、ちょっと空気がうすくなる感じ。

特に冬の朝帰り感とヴェルサイユ宮殿のマッチングは絶妙。
朝帰りでヴェルサイユに帰るってずるいだろ。


この映画、ネット評を見ると、けっこう多いのが、
まさしく「退屈しました」って感想でね。
惜しい!って感じだよな。

モダンロックや美しいヴェルサイユ宮殿や、なにより退屈している女の子を楽しめないんだったら、
おとなしく『ディパーテッド』見に行っとけよと、
思う訳なんですが。

まあ、僕は『ディパーテッド』に備えて『インファナル・アフェア』をまた見ちゃったし、
かつて美容院でトニー・レオンの髪型をオーダーしたという恥ずかしい過去を有しているので、
そっちの方の感想でもいいです。
交換したいものです。

virginsuicides_01.jpg

(『ヴァージンスーサイズ』 1999年)


『ヴァージンスーサイズ』から、
『ロスト・イン・トランスレーション』を経て、
『マリー・アントワネット』に至る、
ソフィア・コッポラのビジュアルイメージに
僕はいつまでも惹きつけられる。


これは何かの予兆や、
そして何かを代替する記号を示しているような、
行間には根本的な問いが含まれているような
そんな気がする。


何となく、仮説をたててみた。

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ちょっと遅い話題ですが、ジョブスのiPhoneの基調講演、よかったね。

ちょうど、僕が大学に入ってすぐぐらいの頃に、ジョブスはアップルに復帰して、
その頃仲が良くてゼミが一緒だったエロかっこエロい友達が
Mac Worldのプレゼンがすごい!って教えてくれた。

それが、僕にとっての初めての優れたプレゼンテーション体験だったんだな。今思えば。

それ以来、新しいiMacやiPodが登場したときのプレゼンは
なんとなくチェックしてたんだけど、今回のiPhoneのヤツは完璧にイカしてる!

iPhone keynote

「Watch iPhone introduction」をクリックしてください。

最初の5分を見たら、ぜったい最後まで見たくなる。
過剰なポジショニングマップ、アラン・ケイの発言の引用。
わかりやすいジェスチャー、そして、ジョーク。

英語が完璧に聞き取れるわけじゃない僕にも、95%以上内容が伝わる。
これって本当にすごいことだ。
まるでロックのライブを見ているような、そんな気分になる。

すごいといえば、もうひとつ。
週末に、上野の鈴本演芸場にふらりと入ってみた。

正月の初席が終わったせいか、寄席はけっこうすいていて、
僕は缶ビールを飲みながら、柿ピーをぼりぼりかじりながら
レイドバック&リラックスして見てたんだけど。
実は二之席を見るのがツウだ、なんて言われて嬉しくなった。

意外に面白かったのは、柳家喜多八っていう肝臓の悪そうな人がやった、
「吉原にいきてーな」ってやつ。

あまりに吉原に行き過ぎて、親に行く事を止められているせがれが
(この設定がすでに面白い)
行ったらあんなことしてもらったり、こんなことしてもらったりするんだろうなー。
「吉原行きてーな!」って、ひたすら妄想しまくる話。

江戸の人もこんなことで悩んでたんだなーってのが妙に面白かった。

で、トリに出て来たのが、三遊亭金馬師匠。
もう御歳75歳ぐらい。

が、これがべらぼうにうまくて、僕は本当に感激してしまった。

人の良さそうなじいちゃんだなーって思ってみていたら、一瞬で引き込まれた。
人情話にホロリとさせられ、気付いたらサゲで、ぎゃぽー、って感じ。
時間を飛び越えたような錯覚すらある。

「話が巧い」というのはこういうことを言うんだな、と
その時改めて思った。


で、ジョブスのプレゼンと金馬師匠の落語の共通点はなんだろう、
って考えてたんだけど、
それは「澱みのなさ」ってことにつきるんじゃないかと思った。

もちろん2人ともジェスチャーや、目を引きつける仕草は巧みだし、
ジョークのセンスもいい。

でも、本当にすごいのは、この偉大な人たちが、
どう考えてもあり得ないぐらい練習しているはずだってことだ。

ジョブスのプレゼンなんて、ちょっと見てもらえばわかると思うけど、
次のスライドが何かを100%暗記していなければ、絶対不可能である。

金馬師匠にしたって、同じネタを何度も何度もやっているからこそ、
自在に緩急をつけて喋ることができるんだ。

つまり、反復こそが「澱みのなさ」をつくるってことだ。

これはやっぱりすごく大事で、ともすればプレゼンテーションでは
「アドリブ力」とか「キャラ立ち」とかの方を重視してしまいがちな昨今だけど、
本当に人にものを伝えるためには、やっぱり繰り返し伝えたいことを
反復して頭に叩き込まなきゃだめなんだ。

当たり前のことだけど、グレイトな話芸をたて続けに体験して、
なんだか再発見したような気がした。

1月7日ですが、みなさん七草粥を召し上がりましたか?
僕はこれからハンバーグを焼きます。
あとはもみのりをのせたご飯に、鮭フレークでもかけて食べるつもりです。

話は変わりますが、それにしても今日は風が強かったですね。

つい先ほどのことなんですが、
歩道をすべるように横切る段ボールとそれを追いかける猫、という情景が、
なんとも風流でした。

どうやらこの強風が体感気温をぐんと下げるようで、
夕方に部屋に帰ってくると身体が芯から冷えきっています。

寒い日に部屋から帰って来て、暖かいものを飲む幸せというのは、
何物にも代え難いですね。


と、いうわけで、今回の「いわゆるガーデニング」ですが、
寒い日に部屋でつくる暖かい飲みものをご紹介します。

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今年は意外に『ドリームマッチ』が面白かった。

いつのまにか正月の恒例で、3回目をむかえたこの番組、
正直去年まではネタの完成度が低すぎて、あまり笑えなかったんだけど、
今年はかなり笑えるコンビが満載で見応えがあった。


大きく変わったのが、コンビを抽選ではなくて、
ボケとツッコミのフィーリングカップル制にしたこと。
これによって、コンビのバランスが、圧倒的に良くなった。

僕が面白いと思ったのは、
さまぁ〜ず大竹とロンブー亮のコンビと、
ダウンタウン松本とタカアンドトシのトシが組んだコンビ。

大竹のヤツは、完全に大竹節全開のネタだったんだけど、
マグロ芸人亮が、何も出来ないからこそ、大竹の嗜好で徹底的に突っ走れたコントだった。

僕は大竹のキャラのテイストと言語選択が本当に大好きなので、理屈抜きで面白かった。


もう一組の、
松本&トシのコンビがやったのは正統派漫才スタイルだった。

そもそも松本の漫才が懐かしくて新鮮だったし、
設定を「一回でいいからトシに『欧米か』って突っ込まれたい松本人志」としたのも、
よかった。

ここで、松本は完全に「ダウンタウンの松本がこれをやってるから面白い」、という
いわば「漫才プレイ」をやっているわけで、
それが今回のネタにはとてもうまく合っていた。

より正確に言うと、
「今ダウンタウンの松本がタカアンドトシのトシに『欧米か』って突っ込まれたい役を
プレイするという構造自体が笑える」ということだと思う。

* * * *

最近の松本は、独自の笑いを求道していたところからステージを移して、
「ダウンタウンのパブリックイメージ」を想定した上で、
テレビ上でのプレイによる笑いを創出させようとしている。

それは、一見タレントっぽくなっているということなのだが、
「タレント的な松本人志を笑う」という構造を引き受けたことを、
僕はダウンタウンが新たなフェイズに突入した、という事だと受け止めている。

このブログで2005年の9月にこんなことを書いていて
そのすぐ後10月から始まったのが『リンカーン』だった。

僕はこの『リンカーン』の司会をダウンタウンがしていることと、
今回の漫才プレイの笑いの構造は、本質的に一緒だと思う。

確実にあるのは、メディアに対するスタンスの変化だ。

そして『リンカーン』や『すべらない話』での後輩芸人との絡みを見ていると、
それはもしかしたら、
イチローがオールジャパンで気さくに後輩とコミュニケーションをとり、
メディアとの接し方を変えてきたカンジに近い心理なんじゃないかと思えてくる。


そういえばイチローは最近こんなことを言っていた。

「この前、大輔と食事したとき野球は団体競技でありながら個人競技であるという話になった。で僕が大輔になんのために野球をやっているかと聞いたら大輔は『自分のためです。』と言い切ったんだ。僕はそういう選手ほど"日本人として日本の野球を背負ってる"という感情をもっていると思うんです。自分のためにと思える選手は何かに向かっていく覚悟がある。チームのためにやるんだといって、プロでありながら自分を殺してというスタンスでプレーする選手は、僕は自分勝手な選手だと思います。だからそういう選手はそういう"日本人として日本の野球を背負ってる"という大きなものを背負うことはできない。大輔からその言葉が出てきたときは嬉しかったですね。」
プレイボール:[短期集中連載 イチローイズム07]第2回より


「イチローが一見気さくな先輩的に見える」一連のサービス的な行動の背景にあるのは、
上に引用した発言にもある通り、間違いなく強い個人主義だ。

とすると、おそらく「松本人志が一見タレント的に見える」のもフェイクで、
この一連のお笑いブームを経て、
やっぱり自分が一番面白いという確信を強めたということなんじゃないだろうか。

『働くおっさん劇場』みたいな極右的なことをやりつつも、
テレビ的な、より大きなお笑いの「何か」を背負うことにしたということなんじゃないだろうか。

その「何か」が何なのかはまだわからないんだけど。

ダウンタウンについては、色々思うことがあるので、
またどこかで書く機会をつくるつもり。

* * * *


で、すっかり話が逸れたけど、
ちなみに勝ったのは、志村けんとさまぁ〜ず三村のコンビ。

別に面白くなかったわけじゃないけど、
このコンビが志村の往年の牛乳早飲み&スイカ早食い芸で
優勝ってのは、さすがに出来レースっぽく感じてしまった。

この優勝にはまったく価値なんてないんだけどね。

年始の動き

  • 季節

喪中で、年賀状を控えさせていただいたこともあり、
ゆったりとしたお正月をすごす。

2007年、
とりあえず『かもめ食堂』をDVDで見た。
これは、そっち系の女子がやられるのも無理ないな。
イッタラ、マリメッコ、イケア、、、。

だって、俺もフィンランドで食堂やりたくなったもん。
登場人物の今イチ巧いんだが下手なんだかよくわからない演技はともかくとして、
それぞれに対する距離感の微妙なところは、いい感じで表現されていたように思う。
おにぎり好きには垂涎ものの映画である。


あとは、年末に買ったCD、マーラーの2番『復活』や、
Echo& The Bunnymenの『ポーキュパイン』を聞く。

いずれも人に紹介されたもの。
毛色は異なるが、どちらもすごく良い。


あとつい勢いで買ってしまったのが、The Clashの7インチシングルの限定BOXセット
これ買ったのはいいんだけど、レコードプレーヤーが実家なんだよね。
これを機に、新しいオーディオセットを組むことも検討中。

本の類いでいうと、今一番面白い文章は、
間違いなくen-taxiに連載されている立川談春の『談春のセイシュン』だと思う。

実はこの連載がはじまったのは、en-taxiの09号。
そうです、あのリリー氏の『東京タワー』が連載完結した号です。
僕はちょうど2005年4月11日にわざわざ感動したと書いていますが。


この号でリリー氏の小説からバトンタッチするように、談春師匠の連載がはじまっているんですね。
実際、en-taxiは創刊以来の大きな柱であった『東京タワー』をこの号から失うことになるんだけど、
ちゃんとその後の手を打っていたということなんだな。
さすが福田和也!

この立川談春の連載。
とても文章を生業にしていなかった人とは思えない。
もちろん落語家は言葉を生業にしているわけで、
そういう意味では門外漢というわけではないのだが、
とにかく素晴らしい。


談志(イエモト)に対する一種の信仰告白という形式で、
自身が入門した頃の話や日々の稽古のことを書いているんだけど、
表現は淡々、飄々としているけど、内容はヒリヒリしていて、深く心に刺さる。

当然このサイトの読者ならen-taxiは毎号買ってて然るべきだと思うけど、
そうじゃない人は連載を今から読むのも難しいと思うので、
この本が単行本になったら、ぜひ手にとって欲しい。


* * *

ところで、昨年末あたりから、
このサイトのサイドバー(通称「すべるバー」)に新しいコーナーがひっそりと新設されていたことに、
感度良好の読者の皆さんはお気づきでしょうか?

Great Escape Merchandising Store!

「買って損したとは言わせない」
そんな厳選されたソフトやハードが目白押しです。
ぜひお試しください。

それでは、本年もThe Great Escape をどうぞよろしく。

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