4月11日に27歳になりました。
朝からメールやSNSでメッセージが届いたり、
後輩が会社の仲間を集めてサプライズパーティをしてくれたり、
いつになく、多くの人が誕生日を祝ってくれました。
後輩たちからはバラの花とスターウォーズの腕時計をもらった。
ホントいいやつらなんですよ。
さて27歳。
P.T.アンダーソンは26歳の時には、もう『ブギーナイツ』を撮ってたんだよね。
ジョンはたぶん『サージェントペッパーズ』をつくった後だよな・・・。
小沢健二は『ラブリー』を歌ってた頃?
偉大なる先人たちと比べてもしょうがないけど、
そろそろなんかでっかいことしてやりたいと
最近ちょっとマジで思うようになりました。
といっても、まずは目の前にあることをやるだけです。
皆さん、これからもよろしくお願いします。
■音楽 三島由紀夫
三島由紀夫の代表作。
ではなく、むしろ亜流というかニッチ系、枝葉的な作品。
都内で精神科医(カウンセラー)を営む汐見和順の手記という
体裁で書かれたサスペンス風の作品。
汐見のもとに訪れたのは不感症の女性で、その原因をカウンセリングするうちに、
医者自身が非現実的世界の深い森に紛れ込んでしまう、、、というような内容。
解説に女性誌に連載していたってあるけど、
読者層を意識してか非常に読みやすいので、三島文学アレルギーの人にもおすすめ。
終盤の展開は、連載らしくやや冗長なきらいがある。
なんといっても始まりから中盤あたりまでの医師とミステリアスな女患者のやりとりが秀逸。
ちなみに新潮文庫の三島作品の装丁、僕は肯定派!
■「これだけは、村上さんに言っておこう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶつける330の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? 村上春樹 絵・安西水丸
村上春樹が読者からのたわいもないメール質問に答える脱力系ムック。
おなじみのコンビでお届けされるゆるめの内容に仕事上のミスとか
ぱっとしない日常とか忘れて、ほっとすること請け合いです。
村上さんの、クールな態度をとり続けながらも、
なんだかんだいって世界や人々を信じている姿勢を見るにつけ
「村上春樹でこうなんだからオレもちゃんとしなきゃなー」と、
世の中に対して前向きな気分になれます。
■村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。 佐藤幹夫
三島、村上ときて、この本です。
新書なんだけど鹿児島の空港で買って、
帰りの飛行機の中でほとんど読んでしまいました。
村上春樹を三島文学の系譜として分析するアプローチは、
これまでにはありそうでなく、興味深かった。
筆者もその着眼点にはそうとう自信があったようで、
ことあるごとにそのことをやや自慢気に持ち出してくる。
いや、それ自慢されてもって感じなのだが。
が、内容としては比較的ありがちな、
初期村上作品を重箱の隅をつつくようなやり方で読み込むというもの。
目のつけどころがよかった割には、掘り下げが甘くやや消化不良。
だけど、この本を読んでまたいろいろと読み返してみたくなりました。
そして今は、スチュアートダイベックの『シカゴ育ち』を読んでますが、
これ超良い。
帯にかかれた翻訳家の柴田先生の一言
『いままで自分が訳したなかで最高の一冊』にはノックアウトされました。
『カナリア』 塩田明彦監督
ずっと気になっていた映画。
実は『Invitation』2005年3月号で蓮實重彦氏の評論を読んだ時から
見たいと思っていたのです。
少年が走る映画といえば、
『ニュー・シネマ・パラダイス』や『運動靴と赤い金魚』。
これらの映画には、いずれも心地よい疾走感がある。
少年達の疲労感よりも先にくるのは、前進する意志や、
その先にある目標(それは妹だったり好きな女の子)だったりするのだが、
この映画の主人公の疾走はとにかくやみくもだ。
走っている少年のモーションが切ない。
その手の振り方や足の運びには迷いがないのだけど、
進むべき道のりや明日の方向がまったく見えていないということを
僕たちはどうしたって感じてしまうからだ。
そして蓮實氏も指摘しているように、
少年の隣に「贅沢に」配された、少女の表情や仕草にも
同じ影が見てとれる。
そんな少年と少女のやるせない徒労感が美しい。
ただエンディングのZAZENBOYSの曲は素晴らしいにも関わらず、
この映画のラストとしてはやはりふさわしくない。
それが、ちょっと残念です。
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