SDP×YYT

かねてより話題をよんでいたリキッドルームの2周年企画、
"LIQUID SURPRISE"の最終日、
とうとう「スチャダラパー」と「ゆらゆら帝国」という
ありえない対バンが実現してしまったので、
迷いなく見に行ってきました!!

かたやジャパニーズ・ヒップホップ・シーンの開拓者、
そしてかたやジャパニーズ・サイケデリック・ロックのトップランナー、
という恐るべき3人組×2という組み合わせ。



冒頭にBOSEがMCで、
「今日はみなさんが感じている微妙な空気というものを
 僕らも非常に感じているわけなんですけれども。
 この今回の対バン、ベン図でいうところの共通部分は
 どのぐらいいるのかと思っていまして。
 だから今日はそこを広げに来ました!」

なんてな感じのことを言っていて、笑った。

たしかに両者とも、20年近いキャリアをもつベテラン同士だけど、
いったいゆらゆらファンとSDPファンはどのぐらいかぶっているのか?
はなはだ謎である。

すくなくともここに1人(いや2人)いるよー、
と思わず手を挙げたくなったりしつつ。

ま、そんなわけでまずはスチャダラ。
超名曲「Let It Flow Again」から新曲の「DISCO SYSTEM」まで畳み掛ける1時間、
圧巻のステージでさすが!
ゆらゆらファンの、心に傷を抱えた女子たちまでをスクリームさせて、
なんだかんだでがっつり持ってってしまった。


この時点で既に、神降臨の興奮状態だったけど、
2度目の客電が落ちて、
あの帝国の3人がギターを歪ませて登場した時、
僕はもう、これは今夜は何度いかされるかわかったもんじゃねーと覚悟をきめた。

「発光体」とか「グレープフルーツちょうだい」とか、
定番系名曲群も相当ヤバかったけど、
なんといっても「つぎの夜へ」、
僕はもうほとんど自分が溶け出してこのギターサウンドや
ドラムのキックに滲み込んでいってしまうような感覚に襲われた。

ついさっきまで恐ろしいほどクリアだった音の輪郭が、
曲が進行するつれて、みるみるうちに曖昧、渾然となっていき、
それとともに知覚が異常に拡張し、いま自分が立っている場所に
本当に自分が立っているのかどうかさえはっきり判らなくなって、
発光するステージと爆音に包まれながら、
坂本慎太郎がギターを抱えて繰り返し悶える様を、
まるで自分がそうしているかのような感覚になって、
いつのまにか身体を揺らすことすら止めて見入ってしまう。

もし、今、アナタが最近音楽からちょっと遠ざかっていて、
でも新しく買ったiPodもあることだし、
なにか刺激的な新しい音楽を聴いてみようと思っているとしたら――、
あるいは、
毎晩、すこしづつ「悲しみ」を「つぎの夜へ」持ち越しているような気がしたとしたら――、
ぜひ一度、俺に騙されてこのシングルを購入してもらいたい。

レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」を一冊読んだときに抱く、
あのやりきれない透明な輝きと同じものがこの音楽には詰まっています。
秋の夜長にぴったりです。100%うそじゃないんです。


ってなわけで、雨の野音に続きまたしても、
ゆらゆら帝国の圧倒的な、狂気のライブパフォーマンスに
完璧にやられて、微熱を帯びたまま、やり場のない高ぶりを持って帰宅した。

本当にいま、2006年に東京にいて、
この素晴らしい音楽を直に聴けることを幸せに思う。

僕は今年のサマーソニックでPHOENIXとDAFTPUNKのステージを見て、
自分がフランス人じゃないことを本気で悔しがったけど、
今日、あらためて自分が東京で生まれ、今こうして生活していることを嬉しく思った。

MCひとつとっても、
かたやオモロいことばっかいってどっかんどっかん笑わせるSDPと、
かたや出来るだけ客と目を合わせないようにし、
被害妄想気味に「ども」としかいわない坂本と。
この2つが同時に見られるなんて、まったく、最高だった。


そのあと、帰宅後に
いてもたってもいられず、家の周りを(6kmぐらい)グルグル走って、
その興奮を鎮めたことを、付け加えておく。


TS320041.JPG

|2006/09/27  SDP×YYT限定Tシャツ!|

Comments [2]

No.1

本当に、記録的に素晴らしいライブでした。
スチャダラの、最初の登場シーンを思い出すだけで
鳥肌がたちます。
ゆらゆらが、あ、今から「つぎの夜へ」を演るんだな、
とわかった瞬間を思い出すだけで泣きそうになります。

中毒性のある2組です。まったく。

No.2

>てい子さん

ご無沙汰しております。

ゆらゆらはともかく、
スチャダラの最近の曲のライブアレンジが
あそこまで攻撃的とは思いませんでした。

本当にかっこいい2組でしたね。

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