from 1979 to 2007


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前回ちらっと予告したとおり、
今日はスマッシング・パンプキンズのライブに行って来た。

会場はサンディエゴ州立大学。
あのスポーツ強豪大のSDSU。
広大なキャンパスの中にあるオープン・エア・シアターでの野外ライブ。



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僕は生まれて初めてアメリカの大学に入り、
まずその敷地の広さ、緑の多さ、そしてお店の多さ(スタバやタコベルがある!)に驚いてしまった。
こりゃSFCの比じゃないね。
ただ、あのキャンパスが目指していたものはよくわかった・・・。


垢抜けないヘザーグラハムみたいな1女チックな可愛い子が
SDSUのロゴの入ったパーカーを着ていたりして、なんかいいなーって思った。


ゆっくりと日が沈んで(こちらの日没は、だいたい7時くらい)、
少し肌寒くなってくると、まずは前座のバンドが出て来た。

前座は、まあ、前座って感じなんだけど。
カバー曲を中心にメロコア系3ピースで若干エア読めてない感じもあったが、
会場からは温かい声援(「Who are you!!??」とか)が贈られていた。


で、8時をまわって、バンドセットが変わると、いよいよ彼らが出てくる。
スマッシング・”ハロウィーンには早すぎる”・パンプキンズ。

さて、
スマッシング・パンプキンについて、2007年になった今、何かを語るのは難しい。

おそらく多くの人にとっても、90年代の彼らの印象が強すぎる故に、
今スマパンって何やってんだっけ?っていうようなポジションにある。

いや、もっと言えば、全盛期のグランジ最盛期だって、彼らはかわいそうだったのだ。
いつだってスマパンはニルバーナを超えられなかった。

どす黒いグランジムーブメントの中で、マグマのように輝く太陽だったカート・コバーン。
その背後にひっそりと月のように存在していたビリー・コーガン。
ビリーの異形のルックスも相まって、アイドルとストーカーみたいな関係に見えた。
いつもカートを意識していたビリーと、スマパンなんてまるで鼻にもかけていなかったカート。
勝手に魂をすり減らして、独りで燃え尽きたカート。
カートが自殺した後に、ぽつんと残されたビリー。

グランジが収束してからというもの、
彼はまるで糸の切れた凧みたいに、風に乗ってどこかに行ってしまいそうだった。

例えばニルバーナにいたデイブ・グロールが、
見事にコマーシャライズされたポップでキュートな「フー・ファイターズ」を結成して
シーンの中に居場所をつくったのとは対照的に、
ビリーのつくる音楽はヘビーロックとも、グランジともつかぬ、不安神経症的なギターの叫びでしかなかった。

正直に言えば、僕だって、21世紀に入ってからビリーのことを思い出した事なんて一度もなかった。
今日のライブのチケットだって、ほんの気まぐれで買ったものだし、
僕のアメリカに着いてすぐのテンションが、思わず足を向かわせたってぐらいの偶然なのだ。

それでも、この超満員のSDSUオープン・エアー・シアターに居て、
オーディエンスの熱気と、最初のサウンドが鳴った瞬間の地鳴りのような歓声の中で、
僕はこのバンドが如何にして居場所を確立し、しっかりと音楽をつくってきたのかを知った。
僕よりも若い大学生たち、ちいさな子供を連れたイカした夫婦、昼間はスーパーのレジ打でもしてそうなおばさん。
幅広い性、年代の人が、彼らの再結成を心待ちにしていたのだ。
それは本当にアメリカらしいバンドの愛され方だった。

みんなで『Tonight,tonight』を合唱する。

ビリーの絞り出すような声が夜空に響き渡って、思わず泣きそうになる。
それはこの地に訪れた、本当に美しい瞬間だった。




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|"Tonight, tonight" 2008.9.20 SDSU|




その日、2度目に訪れた最も美しい瞬間は、
ビリーがアコースティックギターひとつで『1979』を歌った時だ。
それは、こんなビリーのMCに続いて歌われた。

「この曲は20世紀の悲しみについて歌った曲なんだ」



|1979/smashing pumpkins |

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Comments [2]

No.1

オレが青春時代に最も情熱を注いだバンドだよ。1979は、殿堂入りの名作2枚組“Mellon Colley~”の中でも、ジワジワ時と共にその価値を高めていった曲だね。 ちなみに、その一女チックちゃん達は、高校生の可能性もあるよ。そっちの教育制度では高校生から大学の授業を受けられるから。

No.2

意外なほどビリーは歳をとってなかったよ。
それにしてもグランジの頃のバンドってホント今いないよね・・・。

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