希代の天才ひげ剃り職人 * スウィーニー・トッド

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2008年は素晴らしい年だ!

のっけから友達は遊びにくるわ、
自転車の調子はいいわ、
雨は降らないわで、
おまけに今年最初の映画は調子良いときた。


『スウィーニー・トッド』はジョニー&ティムファンにとって
期待を裏切らないだけでなく、新しいゴシックホラーコメディの金字塔として
燦然と裏歴史に名を残すであろう素晴らしい作品だった。


端的にこの映画を魅力を言えば、
それは配役のマッチングの妙に他ならない。

ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム・カーターはもとより、
僕の大好きなアラン・リックマン
(『ギャラクシー・クエスト』のトカゲヘッドでおなじみ)の悪人が良い。
あのあまり口を動かさない低音の喋り方が、抜群にはまっている。

それだけでなくその部下や少年、あるいは町人の一人一人にいたるまでの
俳優の顔がとにかくすさまじく良い。
演技中の表情が良い、というよりも、もうただただ、その時ほしい顔がそこにあるのだ。
適材適所ってのはまさしくこういうことです。

また、ミュージカル仕立ての映画にありがちな、
それまでは普通に演技してたのに、
唐突に歌を朗々と歌い上げられて興ざめ、みたいなことも無い。

あくまでも俳優の台詞にメロディが付いている感じが違和感なく
この悪趣味セカイに溶け込んでいる。
(これは観賞後に読んだ記事によると監督が意識した点らしい)

ジョニーの歌は、可もなく不可もなくと言った感じだけど、
台詞としてみると一転、その生き生きとした死んだような表情との相性が良く
リスニング能力に難ありの僕でも、内容を理解することが容易だった。
ジョアンナ役の女優のジェーン・ワイズナー(たぶん新人)の歌は
文句の付けようがない。

そしてなんといっても、ジョニー・デップが理髪師役なのだが、
実際にはむしろひげ剃り職人であるという点が、本作の大きなポイントである。

考えてみればジョニーもヒゲにはちとうるさい男。
そして不肖わたくしも髭剃りにかける情熱では、
他人に負ける気がしないグッドシェーヴァーを自任する者。

そこにある種の共鳴が生まれたとしても、
それは決して偶然とは言えないであろう。

とにかく、
スプラッターであることはあらかじめ覚悟した上で、
それでも完璧に美しく、実に可笑しく、
震えるほど悲しみに満ちたこの映画をもって、
今年最初の映画生活のスタートを切るのは、
そんなに悪い選択ではないと思う。

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