先日のen-taxiですが、09号にしてそれまでの1コインプライスから、いっきに740円まで、鬼のように値を上げてきましたね。
ここで心ない読者であれば、「ざっけんなよ」と舌打ちひとつ。乱雑に本を戻して、立ち去るかと思うのですが、僕は敬虔なリリー・フランキストであり、福田和也イズムの継承者ですので、もちろんちゃんと買いましたよ。740円なんて、僕にとってははした金ですからねぇ。
話がそれてしまいました、も、なにもいきなりズレたところから話を始めたのでそれたもへったくれもないのですが、表題に戻ると、今回の号は個人的にはこれまでで最も素晴らしく充実した内容でした。特にタイトルに書いてある通り、村上春樹についての批評が大変興味深かったです。
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『en-taxi』、僕が毎号発売を楽しみにしてやまない雑誌です。
先日発売された最新号09号をもって、創刊から連載されていたリリー・フランキーの『東京タワー』が完結しました。リリー氏はen-taxiの同人4名の一人でもあります。
世間ではついぞ江國さんの『東京タワー』が話題になったけど、不倫とか浮気とかあるいはその両方とか、そういったフワフワしたドリーミィな小説ではなく、このリリー氏の小説は凄まじいリアリズム、ドキュメンタリズムに満ちた作品です。
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後輩から本を借りた。
曰く、「この本、女心がわかるすよ」。
お前ついこないだ彼女にふられとるやないかい、
と喉元まで出かかったセリフを飲みこみ、
「お、そう。読んでみるわ」といって借りたのが、これ。
『対岸の彼女』 角田光代。本年度の直木賞受賞作です。
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「ちびくろさんぼ」復刊決定!
非常に喜ばしいことです。世の中には「差別」に過剰に反応する人が結構沢山いて、別に彼らのパーソナリティを否定する気はないんだけど、本質的じゃない部分で騒いでいたりすることを残念に思うことがよくあります。
例えば文庫版手塚マンガの奥付には、必ず「このマンガには黒人が出てきますが差別ではありません云々」みたいな文章がついてる。だけど、明晰なアタマとまっすぐなスタンスで読めば、そのマンガが差別を目的として書いてないことぐらい誰にでもわかるはずです。なんですかね、こういうことを規制してしまう無粋さというのは。明らかに本質を見落としてしまっている。このちびくろさんぼもしかりです。
だいたい、トラが木のまわりを回っているうちにバターになっちゃうなんていう気の利いた話が、今まで、不当に、絶版になっていたということ自体が、いかに差別に関する認識が歪んだものであったかということを示している気がしてなりません。
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週末に図書館に立ち寄った。
借りた本は3冊。
そのうちの一冊が『僕たちの時代』(田中康夫)です。
田中康夫の本って、今現在すごく手に入りにくい。おどろくほど絶版で、たぶんこの本もそうなんだと思う。ぱらぱら読んだ感じではすごく面白そうだし、消費文化についての洞察は一貫していて、今読んでもかなり本質を語っています。
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僕は普段新書をあまり読まないのですが、最近薦められて読んだのがこれ。
『上司は思いつきでものを言う』 橋本治
タイトルが秀逸です。
これをオフィスの机の上に置いておくだけで、もうすごい逆パワハラになるんじゃないかっていう。チームのみんなが一冊づつ持っていたら上司は相当凹むこと請け合いっていう。(ちなみに僕の上司は、思いつきでものを言わない、素晴らしい御仁です)
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